ことしに入り、日用品化粧品業界では、卸業の機能強化を目指す動きが目立ってきた。卸業が果たす重要な役割には、物流、情報、金融、マーチャンダイジング、営業などがあるが、この内最近特徴的なのは物流とマーチャンダイジングの機能特化に関する動きである。
 化粧品日用品業界最大手の卸店パルタックでは、近畿、中部にRDCを建設し、続いて九州、関東にも同様のRDC構想を打ち出すなど、物流近代化とローコスト・オペレーション確立に向けた基盤整備を進めつつある。また、こうしたインフラを武器に、量販店などへの一括物流、3PL事業も視野に収めている。同様の動きは花王システム物流、ハリマ共和物産などにも見られ、特にハリマ共和物産では、今年度中に3PL事業(ブルーム)の扱い高が本体のそれを超えると予測されている。
 これと対照的なのが、3PM、即ちフィールド・マーチャンダイジングにまつわる動きである。この6月、徳倉(中央物産との合弁)とパルタック(米国SPA社との合弁)が、ほぼ時期を同じくして「フィールド・マーチャンダイジング」を目的とする新会社を立ち上げた。メーカーにとって精度の高い物流と同様、いやそれ以上に重要なのが店頭における競争力だが、現実には本部商談通りに商品が店頭に並ばない、店頭状況が確認できない、きちんと陳列してくれる卸店もいないという不満がある。
 3PMは、こうした不満にローコストで応えるもので、販売機会のロスを防ぎ、収益を改善するメリットがある。両社では、ここ数年来、水面下で着々と準備を進めていたが、市場競争が新たな段階を迎えつつあること、卸業の機能分化への潮流をふまえ、「店頭強化」に向けた新提案を他社に先駆けて発表したものである。
 ただ、機能強化とは、ひとり卸業だけの問題ではない。製配販共通の課題である消費者満足を目指す経営とは、安易な価格競争によらないマーチャンダイジングとは、望ましい需要創出のあり方とはいかなるものであろうか。 グローバル化、IT化、通信革命を背景とした<第2次流通革命>は「産業革命にも匹敵する革命」と表現されるが、それは日常のビジネスにも大きな変革をもたらし、「適者」に対して大きな可能性の扉を開く。ここでは、新時代の経営手法として、本格的な発展段階を迎えたカテゴリー・マネジメントについて、その潜在的な可能性を探ってみたい。
  



 流通業の成長戦略には、マーケティングとマーチャンダイジングが重要な要素となる。組織流通業の成長の可能性を考える場合、まず提供する商品やサービスの拡大、店舗数の拡大が主要な戦略となるが、今日のような景気の低迷下では、既存店をいかに活性化(客数・客単価)するか、カテゴリー特化したサービスをいかに提供するかといった戦略が重要性を増してくる。
 カテゴリー・マネジメントとはひと言で言えば「消費者への価値提供に焦点を置き、ビジネス結果の向上を目的に、商品カテゴリーを戦略的事業単位として管理する、流通業者とサプライヤーの行うプロセス」のことである。ECRの4つの戦略の内、「効率的な商品補充」は、供給側のプロセスに関する戦略であるが、それ以外の「効率的な新製品導入」「効率的な販売促進」「効率的な品揃え」の3つは、いずれも消費者のニーズに的確に応える、需要側のプロセスに関する戦略である。そして、ECRでは、この効果的な需要側プロセスを実現するための手法として「カテゴリー・マネジメント」を重視し、推奨しているのである。
 近年は、店舗の大型化が急速に進んだことで、1店舗当たりの売上高は増加したものの、単位面積当たりの売上高は減少する傾向にある。この結果、「単位面積当たりの売上高を増やす手法」として、売れる商品に優先的に棚スペースを割り当てる「棚割管理」が重視されるようになり、様々な棚割支援用のコンピュータソフトも開発されるようになってきた。これが「カテゴリー・マネジメント=棚割」と考えられている最大の理由である。しかし、ABC分析を中心とした棚割管理だけでは、品揃えの画一化につながりやすく、それが店舗全体の差別性を乏しくし、価格競争を誘発する間接的な要因にもなる。
 カテゴリー・マネジメントでは、まず1つひとつの商品ではなく、「カテゴリーを戦略的なビジネス単位に位置づける」このカテゴリーの何たるかは、後の8ステップで詳細に述べる。そして「小売店とサプライヤー(メーカー・卸店)のビジネス計画を融合」させ、「配送・補充・マーチャンダイジング・サービスを連動させる」という3つの要素を統合させることが必要である。つまり、サプライチェーン・マネジメントの発想が根底になければ、基本的にカテゴリー・マネジメントは成し得ない。
価格競争といった「死に至る病」を治療もせずに放置し続けるのか、それともこれまでの流れをいったんリセットし、基礎からトレーニングをやり直して、健康なビジネス体を築き上げるのか、その判断は主体者である1人1人の良識に委ねられている。


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