日本石鹸洗剤工業組合(平野光生理事長・平野油脂社長)は、急速に発展する中国市場の視察と、現地の石鹸、洗剤、香粧品などを製造する企業の実態を把握し、今後、同組合と中国企業との交流の可能性を探る目的で、中国視察団を組織、9月8日から9月15日までの8日間、中国を訪問した。弊紙も同視察団に参加、同行取材を行い、今回の特別視察レポートを連載で掲載する。


  日本石鹸洗剤工業組合の中国視察団は、平野理事長を団長とする総勢21名(別項)。視察都市は、中国国内で特に経済発展の著しい沿岸地域・上海、蘇州、北京の3都市を訪れた。

 日程は、1日目(9月8日・日曜日)が成田と大阪から上海に向かい到着後、上海の流通市場を視察、グローバル小売業「カルフール南方店」と現地百貨店の「華聯商厦」(カレンショウカ)の2店を見学。2日目は上海の大手洗剤メーカー「上海白猫有限公司」(シャンハイシロネコユウゲンコンス)と化粧品製造メーカーの「上海家化集団有限公司」(シャンハイカカシュウダンユウゲンコンス)を訪問。

  3日目は、上海からバスで84`の道のりを蘇州へ移動、化粧石鹸製造メーカーの「蘇州雪子洗浄用品有限公司」(ソシュウユキコセンジョウヨウヒンユウゲンコンス)を訪れた。4日目は、蘇州市内のホテルで、化粧品、健康食品、革製品、家具など多角的な事業を展開する「江蘇隆力奇集団」(コウソリュリキキシュウダン)の幹部と情報交換会。その後、上海に戻り、花王の中国法人である「上海花王有限公司」(シャンハイカオウユウゲンコンス)を訪問、同工場を見学。5日目は、空路で上海から中国の首都・北京へ移動、中国の石鹸洗剤業界団体「中国洗浄用品工業会(中国SDA)」を訪問、中国の石鹸洗剤生産需要動向を伺うとともに、日本の石鹸洗剤需給動向を説明、情報交換を行った。6日目は万里の長城と明の十三陵の視察組と、北京市内の視察組に分かれ、それぞれ観光。7日目は北京市内を全員で視察、帰国前最後の1日を北京市内の観光で楽しんだ。最終8日目は、北京市内の景山公園を視察後、北京から、成田、関西空港へと帰国――という日程だ。

 訪問した企業は、巨額な資金で中国国内で大規模な事業を行う「上海白猫有限公司」(01年売上高19億元=285億円、台所洗剤は中国シェアナンバー1)、「上海家化集団有限公司」(01年売上高15億元=225億円)、規模は小さいがシステマチックに高品質の化粧石鹸を製造するOEM専門メーカー「蘇州雪子洗浄用品有限公司」、ヘビの栄養成分を保留し健康食品や化粧品への活用を最大の特徴としている「江蘇隆力奇集団」(情報交換会のみ)、日本を代表するトイレタリーメーカー花王の中国法人「上海花王有限公司」と、グローバル企業あり、中国国内大手あり、中堅あり、専門性の高い企業ありと多岐にわたり、さらに中国の石鹸洗剤の全体的需給を把握するために中国洗浄用品工業会にも訪れた。

 視察レポートに入る前に、まず基本的な中国の状況について触れたい。

中国の面積は959万6961平方`bで日本の26倍。人口は13億人、56の民族があるが、そのうち漢族が91・6%を占め、少数民族は8・4%(1億人強)。中国経済は、1978年のケ小平が行った改革開放路線から、順調に発展、特に92年の「南方講話」以降は江沢民政権のもと市場経済体制へ移行、海外からの投資拡大が貿易を活発化させ、急速な発展を遂げている。96年から00年までの経済成長率は、年平均8・3%、00年の名目GDPは1兆1000億ドルに達し、1兆ドル経済に仲間入り、世界第7位にまでなっている。さらにWTO加盟により市場経済体制の枠組みに参加することで、対外貿易の拡大、対中投資の増加が進むのは間違いない。しかし、過去10年の急成長に比べて、ここ1、2年中国経済は安定成長期に入ったといわれている。

  中国経済の特長的なことは、経済特区である沿岸部、と農村地域の内陸部で収入格差が大きく、98年の国家統計によると全国を100とすると沿岸部は、195・5、内陸部は72・1と大きな開きがある。1人あたりの年間収入は、都市部が平均6860元に対して、農村部は2366元と都市部が2・9倍。また、第3次産業の未発達や高校以上の進学率の低さなどまだまだ課題を残しているのが現状だ。

 

 第1日(上海)
カルフールや地元百貨店を見学

 

 成田と関西両空港から出発した日本石鹸洗剤工業組合中国視察団は、上海の上海浦東国際空港で合流、空港から市内へ約30`の道のりを約1時間かけてバスで移動した。空港から市内にはリニアモーターカーの建設が計画されており、完成すれば所要時間8分で空港と市内のアクセスが可能となる。上海市に入ると、川幅450bにも及ぶ黄浦江(コウホコウ)と租界時代のアールデコ調の瀟洒な高層建築物やアジアナンバー1の高さを誇るテレビタワー(468b)など近代的な高層ビルが並ぶバンド(bund)エリアの景観に圧倒された。

 上海の中心部には東京新宿を上回るほど高層ビルが乱立しているが、実にここ9年間で5000棟の高層ビルが建設されたという。上海視察の案内役を務めた中国人ガイドの周氏によると02年の中国経済成長率の予測は7・5%だが、上海11%と平均を上回っているという。ちなみに経済特区では17%の成長が予想されている。上海市の人口は、登録されているだけで1300万人、流動的な人口が500万人、合計1800万人が住んでいるという。

 宿泊先のホテルに到着すると、視察団は早速、市場視察に出発、日本でもおなじみのグローバル小売業の「カルフール南方店」へ向かった。当日は、日曜日ということもあったが、大勢の人で賑わっていた。広い店内に各階を結ぶスロープがあり、これは世界共通の店舗フォーマットなのか日本の幕張店と同じようだったが、全体的に店内は日本のほうがきれいで清潔なイメージがある。最も気になるトイレタリー、日用品売り場に向かったが、まず日本と違っていたのが、各カテゴリーに推奨販売を行う販売員がおり、しきりに商品を勧めていることだった。はじめに家庭用ラップの売り場をチェックしていると販売員が近づいてきて、しきりにポリエチレン製のラップ30b巻に20bの詰替品のついた企画商品を勧められた。ちなみにこのラップは6・8元、1元を15円で換算すると102円。30bの定番品は5・9元(85円)だったから、お買い得だが、日本でポリエチレンラップは安ければ20b巻58円ぐらいで買えるので、日本のラップの価格とさほど変わりなかった。

 ざっと目についた商品と価格を紹介すると、「花王アタック」750cが14・5元(211円)、翌日訪問する予定の現地企業・上海白猫の商品は1・8`で19・5元(285円)だった。衣料用洗剤で最もインパクトがあったのは「天清」という袋詰600cの洗剤が通常3・1元(47円)のところ2元(30円)で大量に山積販売されていたこと。日本の山積展開では考えられない規模と迫力の売り方だった。後に知ったが、この商品はかつてヘンケルと合弁企業だった現地の企業が販売しているという。

 シャンプーではP&Gのリンスインシャンプー「リジョイ」レギュラーサイズが12・9元(194円)、エフティ資生堂の「ノイエ」ポンプタイプが19・8元(297円)、リーバの「ラックススーパーリッチ」レギュラーが15・9元(239円)、花王の「シフォネ」レギュラーが12・8元(192円)であった。ちなみに花王の「シフォネ」はシャンプー機能をもったリンスで日本ではすでに廃番となっているが、中国市場では人気がある。トイレットペーパーは、ネピアの16ロールが18元(270円)、その他の商品も16ロールで13元から25元の間であり、幾分日本よりも安い。このほかリーバの「ダヴ」の乳液が30元(450円)、ジレットの「マッハスリー」ホルダーが58・3元(875円)だった。日用品以外では「コカコーラ」2g+250_gが通常70元(105円)のところ6・1元(92円)で販売されていた。

 低価格も1つの特長であるカルフールでも日用品の価格は、若干日本よりやすい程度であり、平均収入からすると、石鹸や洗剤などの日用品、特に日本や欧米の商品は贅沢品に位置付けられているようだ。

 視察団は、カルフールを後にすると南京路にある百貨店「華聯商厦」へ向った。南京路の傍には、日本の租界地でもあった虹口にも近く、このあたりは当時の建物や昔の面影を残す建物がある。視察した「華聯商厦」は、特に目立ったところもなく、1世代前の日本の百貨店という印象だった。

 一行は市場視察を終えると、黄浦江とバンドエリアが一望できる「海鴎飯店」で食事、この席で平野団長・理事長が「今回の視察は急速に発展している中国を実際に見ることと、将来、中国で生産させる石鹸、洗剤が日本に入ってくる可能性があるのかということを現地の企業を見て判断したいという目的がある。今回の視察にあたり、花王の後藤社長に相談したところやれることはすべて段取りするとご協力をいただいた。また花王国際事業部の佐々木シニアマネージャー、米田専務理事に骨をおっていただき、調整を行っていただいた。8日間に我々の親睦をさらに深め、実りのある視察ツアーにしたい」とあいさつ。三木副団長・副理事長の乾杯の発声で、開宴となり、視察の成功を祝って歓談、8日の視察の1日目を終えた。

 

【視察団メンバー】(順不同、敬称略)

 

 団長=平野光生理事長(平野油脂社長)▽副団長=三木晴雄副理事長(ミヨシ社長)、瀧山謙副理事長(日本合成洗剤社長)

 メンバー=米田義章専務理事、友田奠道(旭合成化学会長)、永井正一(クローバーコーポレーション社長)、西本博(東邦社長)、中野裕司(フェニックス社長)、志水千博(フタバ化学専務)、藤原一男(ミヨシ石鹸製造神戸工場長)、吉川公夫(マックス工場長)、甲田英之(ニッサン石鹸生産本部長)、高瀬和雄(第一石鹸社長)、阿部守利(ミマスクリーンケア専務)、鳴海清司(コープクリーン営業部長)、安西富男(玉の肌石鹸取締役化粧品事業部長)、近藤元伸(テシマ化研東京営業所長)、平野晃之(玉の肌石鹸技術課長)、三木晴信(同企画開発部)、業界紙2名

 


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