|
業界紙3紙(石鹸新報、洗剤新報、日本商業新聞)の海外共同取材も、今回で6回目を向かえた。過去5回は東南アジアを中心に業界主要メーカーの製造拠点を取材してきたが、一通りの巡回を終えたことから、今回初めてアメリカに取材先を変更、3月3日から10日までの8日間、シカゴ・シンシナチ・ニューヨークの3都市のメーカー(サンスター子会社・バトラー社、日本香堂子会社・ジェニコ社、花王子会社・ジャーゲンズ社、P&G社本社、資生堂子会社・資生堂コスメチックアメリカ、資生堂アメリカINC)並びに地元流通業をチェックした。今回の共同取材の詳細については今後数回に分けて紹介する。
バトラー社―歯間ブラシ全米NO・1
売上高1億2300万j、前年比110%
いよいよこの稿から、アメリカの企業取材報告が始まる。初日のスタートはサンスターの子会社であるGUMブランドメーカーのJ・O・バトラー社を訪問した。同社指し回しのリムジン(映画やテレビでは見たが、乗るのは生まれて初めて)で、シカゴ中心部から車で約30分、市内フォスター通りに面したバトラー社につくと、日本から出向の新製品/事業開発部の白川マネージャー、関マネージャー(東京堂・関武一社長令息)両氏の出迎えを受け、続いてマイケル・G・バヴァ社長(最高業務執行責任者)、トーマス・M・スタッドニ―副社長(新製品/事業開発担当)、ジョン・P・ヘネシー副社長(北アメリカオーラルケア担当)、リチャード・D・マクマン副社長(財務・管理担当)、ジョン・G・シムカス副社長(製造担当)らの首脳陣から、直接にバトラー社の現況報告を受けた。
特に、バヴァ社長とヘネシー副社長は、この後12時のフライトで日本に向けて出発するスケジュールが組まれているため、まずバヴァ社長から話を聞いたが、同社長はその前の週にはサンスターのヨーロッパ上級管理職会議があり、金曜日にヨーロッパから帰国したばかりで、「今、自分はどこの国のどの時間にいるのかも分からない」という忙しさの中、懇切丁寧に説明してくれた。
バトラー社の歴史を辿ると、1923年にジョン・オスカー・バトラー(歯科医)によって創設されたが、当時は自分のオフィスで仕事をやっており、歯科医に歯ブラシを売る仕事が中心であった。そして、70年代になってようやくドラッグストアに売り始め、78年には1000万jの売上げを達成したが、その前の72年から米国外(カナダ、スゥエーデン)での販売も始めている。
しかし、81年に現在地に移転するまでは、ほとんど製造はしておらず、この場所に工場を建ててから、歯ブラシと歯間清掃器具は一貫生産を始めた。84年にニューヨークのナスダックにに株式を上場(1株当たり5j)した。また、85年にはこの場所から西に45分のところにあるエリジンの町の小さな薬品会社を買収した。
バトラー社にとって重要なことが88年に起きた。それはサンスターによって会社が買収(100%の株式)されたことである。そして92年にドイツで子会社を設置、また、94年に国際ディストリビューターの方法を新しく変え、現在バトラー社は55ヶ国で販売活動を展開している。
97年にサンスターはバトラー社でのマネージメントチームを設置し、その後非常に素晴らしい改革が進んだ。初めて2個に分かれている歯ブラシを発売、さらには97年には電動はブラシを発売した。また、以前に購入していた隣接地に製造から物流、本社機能などすべてを整えた建物を建設。さらにヨーロッパに積極的に売り出す計画がサンスターにも受け入れられ、イタリア支店を設立。00年にはフランスの事業を買収するとともにスペインにも支店を設立した。01年にはラテンアメリカにおいて2段階の物流チームを結成している。
バトラー社の経営ビジョンは、「サンスターとバトラー社が、世界において1番優秀なオーラルケア会社になること」であるが、単に製品を売ることだけでなく、人々の〃口の健康〃を向上させることへの認識と尊敬される立場になることであり、達成のための戦略と一生懸命に取り組んでいるが、これは管理職を含む全従業員が共有するものだという。
サンスターは常に「バトラー社はどのように成長したいのか、顧客に対してどのような戦術を取るのか」などの説明を要求、これに対して同社は、@ニュービジネス(プロダクツ)への全員参加により、競合よりも差別化された製品を常に追求Aブランドの育成(日本でもNO・1ブランドのGUMは、世界77〜80ヶ国で売られているが、ブランドの裏にあるメッセージが特別なものである)B地理的な拡張(世界戦略を全員で共有)C推進力(原価削減、生産性改善、サプライチェーンマネージメント、サービス、会計などの日々の改善)を重要視していると説明。
98年にこの戦略を実施して以降、事業は毎年13〜14%成長を続けており、これは市場成長率の2〜3倍の数字となり、この2年間でブランドの付いた歯ブラシで成長している唯一の会社となっている(P&G、コルゲート、ユニリーバ、ジレット、J&J、グラクソなどの競合品を含めての話)。バトラー社の現在の年商は1億2500万j、前年比110%。
サンスターとバトラー社は世界を部分的に分けて考えており、北米・カナダでは消費者との直接取引きを続けてきたが、将来的には小売業への取り組み活動を行う。世界で最も大きい市場(日本8%、北米21%、西ヨーロッパ25%)であるヨーロッパの場合は、特に西ヨーロッパは5ヶ国(イギリス、ドイツ、イタリア、フランス、スペイン)で75%を占めていることから、1年半のうちにインテグレーションが進む計画である。
また、オーラルケアの1番進んでいるスゥエーデンにも小さな事業所があるほか、他のヨーロッパは2段階で物流パートナーを活用していく。中東(サウジアラビア、レバノン、クェート、イスラエル)やオーストラリア、ニュージーランドにも物流業者がいる。ただ東南アジアはサンスターのブランド、インフラで展開しているという。同社の売上げのうち、アメリカ・カナダが65%を占め、ヨーロッパでは現在2000万j、ラテンアメリカで800万jなど。
GUMブランド、世界55ヶ国で発売
続いてジョン・P・ヘネシー副社長が、GUMブランドに関して〃口内健康は体全体の健康に関連する〃(歯茎ケア=全身ケア)というサンスターの考えのもと、科学的調査の裏づけが出来上がるとともに、その口内3ステップ(ブラッシング、フロッシング、カスタムケア)を提案していることを説明、この3ステップは商品パッケージにも表示されているほか、プロフェッショナル(歯科医)向けにも説明書が配布されている。
また、ジョン・G・シムカス製造・オペレーション担当副社長の案内で工場を見学した。同社の工場棟は2棟(製品生産、パッケージング・物流・出荷)が連なっており、製品生産は24時間の1週間フル稼働を、パッケージ・物流・出荷は16時間2交替の5日稼動を行っている。
バトラー社の得意分野は、歯ブラシと歯間ブラシで、歯間ブラシは8500万個、歯ブラシの把手部分は年間9500万本生産され、700〜800万本が日本に輸出されている。4年前にカナダから全自動成型機2台を導入し、24時間のフル生産を続けている。また、ブラシ植毛はドイツ製機械を3台導入、2700万本生産している。生産についてはは85%を社内で、15%を社外に依頼している。
出荷・受け入れなどの第2棟では、同社の主力がプロフェッショナル(1ダースから注文受け)ということもあり、月間1万6000のオーダーを受けているほか、自分の名入り受注も、従来は3ヵ月かかっていたのを、3日で行うようになった(うち10%は1日で出来る)工程などを見学した。
同社の従業員数は約700名。ヨーロッパ5ヶ所の営業販売員は120名。カナダは40名。
続いて新製品/事業開発担当のトーマス・M・スタッドニー副社長から、同社の商品開発の方針と基本的な考え方を説明、特に「革新的、発明的、付加価値のあるもので、プロフェッショナルからも効き目を推奨されるもので、CIと一環しており、収益を生むもの」というのを基準に挙げ、「ニッチ製品のバトラーがカテゴリーのキャプテンになる」と抱負を述べている。
|